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ムソク外伝 月の章 28

ウォルヤの目に映った姿・・・

それはいつもの逞しい兄の姿ではなかった



うっすらと目を開いているが、生気は無く、その顔は血の気を失っていた


「待って下さい。今、火を起こします」

そう言うとウォルヤは近くにあった薪に火を付けた。

やはり、此処は炭焼きを生業とする者が使う小屋だった。
生活に必要な最低限の物と、クズになった小さな炭が山ほどある

「良かった・・・これで凍える事はない・・・」


手にした小さな炭を薪の中に放り込むと、パチパチと音を立てながら真っ赤に燃え始めた


「兄上・・・こちらに・・・」


ウォルヤはムソクの身体を抱え、火の傍へ横たえた

そして、ガタガタと小刻みに震えるムソクの防寒着を脱がし、身体の傷を調べようとした時



「これはっ!」



ムソクの背中に広がる血の跡・・・・



宮殿で傷の手当をしたとはいえ、まだその傷口が着かないうちに、長い道のりを馬で駆けて来たムソク

いつしかその傷口は開き、その背中を真っ赤に染めていた





私が付けたあの時の傷

兄上との記憶が無かったとは言え、私は何という事を・・・



後悔の念に苛まれながら、ウォルヤは懐から薬の容器を取り出した






急いで湯を沸かし、その間にムソクの着物を脱がしていくウォルヤ

その身体を触れるたび、ウォルヤの指先に氷のような感触が伝わる



早く傷の手当をして、兄上の身体を温めねば・・・



ムソクの背中があらわになり、ぱっくりと開いた傷口の周りの血を拭ったウォルヤは、そこに薬を塗り、自分の着物を引き裂いた布を包帯代わりに巻き、そして元通りに着物を着せた


「兄上・・・何か飲まれますか?」

ガタガタと震えながら、頷くムソク

ウォルヤは沸かした湯を茶碗に入れ、ムソクの口元へ運んだ

しかし震える唇は、その湯を口に入れる前にこぼしてしまう

このままでは、兄上は・・・


ウォルヤは、その茶碗の湯を自らの口に含み震えるムソクの唇に当てた

驚いた様子で、一瞬目を見開くムソク

だが、再びその目を閉じ、唇を開く

一気に飲ませると、むせてしまい危険である事を知っていたウォルヤは、少しの湯を口に含み、震えるムソクの唇を指でそっと開くと自分の唇越しに注ぎ込んだ

少しずつ、そして何度も何度もムソクと唇を合わせるウォルヤ

やがて、氷の様だったムソクの唇は、徐々に温かみを取り戻して来た






「ウォル・・・ヤ・・・ありがとう・・・」

「もう、良いのですか?」

ムソクはコクリと頷いた



だが、温かみを帯びてきたのは、重ねられたその唇だけだった

ムソクの身体は、変わる事無くガタガタと震えている

ウォルヤは懸命にムソクの身体を擦ったが、その震えはいっこうに止まる気配が無かった

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