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ホミン小説

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Hide & Seek 28

俺の力になりたい…?

そんな言葉、もう随分長い間聞いたことが無かった

何で俺なんかに…

だが、チャンミンは澄んだ瞳でしっかりとユノを見つめている




と、その時…

「チャンミンさん?」

後ろから聞き覚えのある声がした

振り返ると、そこには刑事課の元バディだったユンミンが立っていた

「ユンミナ?何でこんなとこにいるんだ?」

「ユノさんに会いたいって人を連れてきたんです」

ユンミンの後ろには、小柄な女性が立っている


「あっ…貴女は…」

女性の姿を見て、先に声を発したのはユノだった

生前、テウンを担当していた看護師がなぜ俺に?

「お仕事中、申し訳ありません。でも、どうしてもお渡ししておきたい物がありまして…」

そう言うと女性はバッグの中から何かを取り出した

「ベッドのマットレスの部分に挟まってたんです」

女性が手にしていたのはイチゴのストラップだった


これは…テウンの…

「テウンさん、これを見るとどことなく嬉しそうな顔をしてらしたんですよ。だからお返ししなくてはと思いましたの。でも、お母様は誰とも会いたくないと仰ってるらしくて。」

女性は悲しげな瞳でそう言いながら、手にしたストラップをユノに渡した

「ユノさん、少しお時間ありますか?」

「えっ?」

「生前のテウンさんの事、お話しておきたいんです」

そう言うと看護師はユノの瞳を見つめた



毎月テウンの病院に見舞いに行ってはいたが、俺は1度だってテウンに会う事をしなかった

担当看護師である彼女に、身の回りの物と、僅かではあるが、何かの足しになるようにと現金の入った封筒を託し、逃げるように病院を後にした

だから、生前テウンがどんな様子だったか、知る由も無かった

「わかりました。では、会議室に行きましょう…」

そう言うとユノは、看護師と共に会議室へと向かって行った



「辛い事件だったよな…」

ユノの後ろ姿を見ながら、チャンミンが呟いた

「今まで数多くの事件を扱ってきたけど、今回ばかりは、やりきれない気持ちで一杯です。」

「そうだな…」

「じゃあ僕はこれで…チャンミンさんと組んでた時のヤマ、少しばかり動きがあったんで」

俺と組んでた時のヤマ?

ホテルでの殺人事件の事か?

あの時は、害者の身元以外犯人に結び付くような証拠が一切なくて、お手上げ状態だったよな

「ホテルでの殺人事件、まだ解決してなかったよな?」

「そうなんです。2年の間、どれだけ調べても全く何も出てこなかったでしょう?まるで何者かが裏で全ての証拠を握り潰している様だった。でも、つい最近…」

ユンミンはあたりを見回してから、チャンミンの耳元で何かを囁いた

「まさか…」

「いや…本当なんです。だからあの事件に繋がる事が一切出てこなかったんです。これが表に出れば困る奴らが山ほどいますからね…じゃ、僕行きます。チャンミンさんとのヤマ、必ず解決に結びつけますよ」

そう言うとユンミンは、チャンミンに手を振り、エレベーターへと乗り込んだ



一方、会議室ではユノと看護師が向かい会って座っていた

「テウンさんは確かにユノさんの事は覚えていたんだと思います。」

「でも、アイツは人としての機能は失ってしまったと…」

「ええ。でも、ずっと傍にいて看護をしているとわかるんです。ユノさんが来ましたよって声をかけると、本当に僅かでしたけど口角が上がったんです。ドクターは最後まで信じてくれませんでしたが、私は確信しています。チソンさんは間違いなくユノさんの事を覚えていたと」

看護師は目に涙を浮かべながら続けた

「あのストラップも、何か理由のある物なんですか?」

「俺がテウンに渡した物です」

「そうだったんですね…だから嬉しそうな雰囲気を醸し出していたんだわ…」

そう言うと、看護師はそっと涙を拭った

「お母様も疲れたご様子だったけど、何とか頑張ってらしたのに。きっと元気な若者を見て、テウンさんと比較してしまったのね」

「元気な若者?」

「ええ…事件前日、中庭で見舞い客らしき人と話しているのを見かけました」

「見舞い客?テウンにですか?」

「いえ、病棟の面接者名簿には記載が無かったので、きっと他の患者の見舞い客でしょう。若者はお母様の手を取り、励ましているようにも見えました。でも、お母様にはそれが辛かったのかもしれません。」

「どんな若者だったんですか?」

「キャップを目深にかぶっていたので、顔は良くわかりませんが、スラリとした体型でした。」

見ず知らずの若者と話をした事で、結果としては逆の方向へと走ってしまったのか…

「俺が逃げずに、テウンのお袋さんの怒りのはけ口となっていたら、こんな事にはならなかったのかも知れない」

「それは違います。人の心は移ろい易い物。先が読めれば何なりと対処が出来ますが、それは誰にも出来ない。ユノさんがお母様と向き合ったとしても、違う結果になったとは言い切れません。それに、前も言いましたが、お母様はもうユノさんの事を恨んではいませんでした。預かった物をお渡しした時は、いつも窓から駐車場を見下ろしてユノさんが帰る姿に頭を下げてらしたわ」


許されようとは思わなかった

でも、俺はお袋さんに許されていた?

ならば余計に、俺が力になるべきだったんだ

逃げずに、もっと歩みよるべきだったんだ…


「あっ、もうこんな時間。これから勤務なので、そろそろ失礼いたします。」

「お仕事前にありがとございました」

「ユノさんもご自身を責めないで、どうか前を向いて歩いて行って下さい。それが亡くなられたテウンさんへの一番の供養ですから」

ユノに一礼をして会議室を出ていく看護師の後ろ姿を見送りながら、ユノは、これから服役するであろうテウンの母親の力になろうと決心していた





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