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ムソク外伝 月の章 21

「ムソク殿、まだ将軍からの伝言をお伝えしておりませぬっ!」


伝言・・・?



「この地図の場所に住んでいるのは、おそらくムソク殿が探しておられるお人だろうと。そして、先ほど、この場所に向けて、陛下より出兵の命が下されました」

「それは・・・どういうことでしょう・・・?」

「リンチェイと名乗る男、張氏の屋敷に討ち言った沈家の昌珉様らしいと・・・。皇帝はその身柄を確保し、もしそれが本当に昌珉様であれば、即刻打ち首にすると申され・・」



何だと!?

あれは間違いなくウォルヤだ

そのウォルヤを捕らえるために将軍が出兵されるというのか?


ムソクは全身の血が引いていくような感覚に捉われた


捕まれば、確実にその命を落とす事になるだろう・・・

そんな・・・




「将軍は出来るだけ出兵を遅らせると申しておりました。その間にムソク殿は昌珉様の住まいに先回りし、必ずやお救いするようにと・・・。万が一将軍の兵が昌珉様を捕らえてしまえば、もうその命、お救いする事は出来ぬと申しておりました」


武官は、ウォルヤが住む場所の地図をムソクに渡した

「一刻も早く此処をお発ちください。土地勘の無いムソク様です。日暮れまでに着かぬと、昌珉様の住まいを見つけることが困難となりましょう。そして、将軍の兵に追いつかれてしまいます。さ・・・早く・・・」

「分かりました。すぐに発つ事にいたします。将軍にはくれぐれも・・・・」

「承知しております。さ・・・早く」



武官に促され地図を懐にしまうと、ムソクは愛馬に跨った

ウォルヤ・・・

今すぐそなたを迎えに参るぞ

この手で、必ずや救い出してみせる・・・




もう、ムソクに迷いは無かった

今はただ、ウォルヤの元へ馬を走らせるのみ






日も暮れようとする頃、バイファは夫と子供と共に食事をとっていた



今日は豆腐の辛い鍋

夫の好きな鍋だ



いつものように、暖かな鍋を囲み暖を取る
山間部の夜は凍りつくように寒い
辛い鍋をつつくと、寒さでこわばった身体に熱い血が巡っていく

それは、単に鍋が身体を温めているだけではない事をウォルヤもバイファも知っていた

家族としての幸せ・・・・

それが心までも温めている事を、2人はひしひしと感じていた



「もう少し辛くても良いかもしれぬな」

「まあっ!リンチェイ様ったら。それではウォルが食べられません」

「あっはっはっ。そうだな。父に合わせてはウォルの食べるものが無くなってしまうな」


自分が誰か分かった後も、ウォルヤはリンチェイとして生きる事を選んだ

父であり夫としてこの地で暮らしてきた自分は、紛れも無くリンチェイなのだ

そして、穏やかに流れていく親子3人の幸せな時間は、これから先もずっと続いていくものと思っていた・・・



食事が終わり、バイファは町で買って来た団子を取り出した

「リンチェイ様、いつもウォルを可愛がって下さるおばあちゃんの所へおすそ分けに行って参ります」

リンチェイはウォルを膝に抱き、微笑みながら頷いた

「外は暗い。気をつけて行くのだぞ」


団子を持ち、暫く歩いていると、ふと、山道の下の方に、いくつもの灯りが見えた

松明・・?

こんな山間の村に・・・・なぜ?



その光の群れは、徐々に山道を上って来ている


ドドドドドドドドド・・・・・

無数の蹄が轟く音



これは・・・まさか・・・騎兵?



バイファの脳裏に不安が過ぎった


そんな・・・

もう何の隠し事も無く、やっと穏やかに暮らせるはずだったのに・・・・



いけない・・・
リンチェイ様を逃がさなければ・・・


背後から迫り来る騎兵の音を聞きながら

バイファは今来た道を懸命に走った

恐怖で足がもつれそうになり、何度も躓きながら懸命に走り、やっと家に着いた時・・・


「どうした!バイファっ!」

幾度か転び、土のついた着物と乱れた呼吸に驚いたのはリンチェイだった

「あなた・・・お逃げ下さい・・・」

「逃げる?何故に逃げるのだ?」





カッツッカッツカッツ・・・・


遠くで響いていた無数の蹄の音はすぐそこまで近付いて来ている



「兵が・・・大勢の兵が参りました・・・」


外では、急に現れた騎兵の大群に村人たちが恐れおののいていた



「リンチェイの家は何処だっ!」

大きな声で叫ぶ兵士達



逃げる暇は無い

ならば、どこかに隠れなければ・・・

「あなたっ、この中へっ!」

バイファは着物の入った柳行李(やなぎごうり)の中にリンチェイを潜らせ、その上から着物を被せた



「リンチェイの家は此処かっ!」

そこへ大きな声と共に、複数の兵士達が現れた!


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