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ムソク外伝 月の章 19

「旅立ちの準備は整いましたか?」

身支度を整えていたムソクの元に、孫将軍が現れた

「はい。幾らかの身の回りの物しか持ってまいりませんでしたので」

「そうですか。ムソク殿とはゆっくりと酒でも酌み交わしたかったのですが」

「私も、亡き父の話をもっと聞きとうございました。しかし、もう私が此処に残る理由はありませぬ。」

「そういえば、ムソク殿と剣を交えた青年ですが、仕官を断ったようです。確か昔離れ離れになった知人に似ていると言っておられましたが・・・」



「断わった?それは何故でございますか?」




皇帝付きの護衛官
それが剣士としてどれだけ名誉なことであるか・・・



腕に自信のある者ならば、喉から手が出るほど欲しい役職だ



「大陸一の剣士の名を手にしただけで充分だと。今までと同じように山で妻子と暮らすと申したそうです」



妻・・・?

子・・・?



予想だにしなかった言葉が、ムソクの心に突き刺さる




ウォルヤと別れて暮らした5年の歳月は、あまりにも残酷に現実を突きつけてきた



そうか・・・・

そうだな・・・・



もしあれがウォルヤであったとしても

妻を娶り、子をもうけても不思議ではない



私は・・・・

何を期待していたのだ・・・・



ウォルヤが生きていた

それだけで充分ではないのか





「どうかなさいましたか?」

「あ・・・いえ・・・・」




「もうここには参らぬゆえ、後ほど使いの者に住んでいる場所の地図を届けさせましょう。朝鮮への帰路の途中に寄られるが良い」

「ありがとうございます」



そこへ、将軍の部下が血相を変えて現れた


「将軍っ!陛下がお呼びですっ!急ぎ兵を出すようにとっ!」

「何かあったのか?」

「わかりませんっ!ただ・・・」

「ただ?」

「先ほどの武官と何やら話をしておられましたが、急に烈火のごとくお怒りになられて」

「分かった。すぐに陛下の元へ参ろう・・・ムソク殿、これにて失礼いたします。どうぞ、お気をつけてお帰り下さい」



只ならぬ気配に、将軍は急ぎ、皇帝のもとへと向かって行った






一人残されたムソクは、ウォルヤの事を考えていた

あれは、間違いなくウォルヤ

しかし、今更それを確かめてどうしようと言うのだ

あの時戦ったウォルヤは、私の事など知らぬような素振りだった



今は妻も子もいる身ならば、5年前に私に想いを寄せていた事など蒸し返したくなかろう

私達は男同士ではないか

まだ、本当の恋も知らなかった若気の至り

きっとそうだったに違いない



もう一度ウォルヤに会いたいと願っていたが、違う形でこそあるけれど、再びこの目でウォルヤを見ることが出来た

戦いの最中ではあったが、ウォルヤの息遣いを感じることも出来た

声を聞く事も、私と互角に戦えるほどの剣の腕前を確かめる事も

それから・・・

それから・・・


自分を納得させるため、あれこれと理由を並べるムソク


すると、まるで走馬灯のようにウォルヤと出合った時の頃からの記憶が蘇って来た


ウォルヤ・・・

そなたの成長した姿

しかとこの目に焼き付けた



もう、よかろう

私は、そなたに会わず国へ帰る

そなたも・・・どうか幸せに・・・




目の前の景色が滲む中、込み上げてくる嗚咽をぐっとかみ殺し、このまま朝鮮への帰路に着くことを決心するムソクだった・・・











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