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ムソク外伝 月の章 7

「リンチェイ様、また眠れぬのですか?」

「すまぬ・・・起こしたか?」

月を見上げるリンチェイに声を掛けたのはバイファだった。



「中に入りましょう・・・ここにいては身体が冷えます」

バイファに促され、部屋に戻ろうとした時・・・



雪・・・?


「道理で冷える筈です。今年の初雪もリンチェイ様と見ることが出来ましたね」



初雪・・・?

初雪が降る頃、何かがあったような気がする・・・

何だ・・・


一瞬、リンチェイの脳裏にかかった靄が晴れるような気がした



「うっ・・・」

「リンチェイ様!」

「だ・・・大丈夫だ・・・またいつもの頭痛だ・・・」



蹲りながらもリンチェイの脳裏には聞き覚えのあるあの声が響いていた



「ウォルヤ・・・ウォルヤ・・・」



また・・・あの声だ・・・

一体誰なんだ・・・ウォルヤとは何なのだ・・・

何かを思い出すきっかけになればと、わが子にはウォルと名付けたが

思い出せない・・・






はぁ・・・

はぁ・・・





「リンチェイ様っ!早く家へ!」


徐々に息遣いが荒くなるリンチェイを支えながら、3人で築いた幸せな日々が、砂のように崩れていく様な不安に襲われたバイファだった・・・






5年前



「バイファはいるかっ!」

騒がしい気配と共に夫リンチェイの声が屋敷中に響いた

急いで庭に出ると、そこには夫と大量の出血をした若者の姿が・・・


「若をお連れしたっ!背中を切られ大怪我をされておるっ!すぐに手当てを!」

「リンチェイ様っ!」

「父上は、若が身を隠しておられた屋敷へ、若の手紙と立派に仇討ちをなされたことを知らせに向かわれた。私もすぐに張邸へと戻るゆえ・・・」

「もう・・・お戻りには・・・」


震えながら尋ねるバイファの手を握りながらリンチェイは黙って頷いた


「生き残った沈家家臣はこれより宮殿へと向かう。生きてそなたの顔を見る事が出来るのもこれが最後になるであろう・・・」


「リンチェイ・・・さま・・・」


泣き崩れるバイファを抱きかかえ、リンチェイは流れ落ちる涙にそっと口付けした


「我らが命を掛けてお守りした若のお命。必ずやお救いしてくれ。そして、若の素性が知れることの無い様に・・・若はあの炎の中で命を落とされたのだから・・・」


目の前のバイファの姿が徐々に滲んで来る


「そなたと出会えて、私は幸せだった。ありがとうバイファ・・・さらばだっ!」



リンチェイは、ぐっと唇を噛み、涙がこぼれぬ様に大きく息を吸うと、振り向きもせずに屋敷を後にした







昌珉の背中の傷は、大きく深くその身体に刻まれ、大量の出血の為三日三晩高熱にうなされた





そして、目覚めた時は自分が誰なのか、何処に居るのかも分からない状態だった。

昌珉が生きている事が分かれば、家臣たちと同様斬首となる。

バイファは、夫や父、そして家臣たちが命を掛けて守り通した昌珉の命を、今度は自分が守り通そうと決心したのだった・・・


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